はじめに
旅先までの移動、観光、食事や入浴を経て、ようやく就寝の時間。
医療的ケア児には、眠っている間も人工呼吸器をつけていたり、体温調整が必要な子どももいます。
医療的ケア児も一緒に旅を楽しむご家族も、一日の疲れがしっかり取れるよう、安心して眠れる環境があるといいですよね。
本記事では、医療的ケア児のご家族/宿泊事業者それぞれの視点で、睡眠時におさえておきたいポイントをご紹介していきます。
寝具について
<医療的ケア児&ご家族>
宿によって、布団/ベッドどちらも用意できる場合があります。どちらのほうが過ごしやすいか、宿に意思表示をしておきましょう。
体位交換や寝姿勢の安定のために、枕やクッションが人数分以上必要な場合には、追加で借りることができるか相談してみるとよいでしょう。
普段は専用のベッドで寝ている子も、みんなと一緒にお布団で寝てみるのもいいかもしれません。
普段の生活とは違う環境だからこそ、お互いの目線や体の姿勢が変わることをきっかけに、新たな気付きや経験を楽しむこともできそうです。
<宿泊事業者>
寝姿勢を安定させるため、枕やクッションが多くあるとよいです。用意が難しい場合には、バスタオルを多めに渡すのもよいでしょう。
人工呼吸器を使用している子や体格の大きな子は、普段と違う高さの寝具に移動する際にサポートを必要とする場合があります。
子ども用車いすから寝具に移動しやすいスペースやベッドの配置などをご家族に確認しておき、必要があればベッドの移動などの対応ができると良いでしょう。

室温について
<医療的ケア児&ご家族>
現地の気温に応じて、部屋を暖めておいてもらいたい/涼しくしておいてほしい場合は宿に到着する前に伝えておきましょう。
<宿泊事業者>
医療的ケア児は、気温や気圧による体調変化が起きやすいため、客室に案内する前に室温を調整しておけると安心です。
特に、屋外と室内で寒暖差が激しくなる季節には、配慮があるとよいでしょう。
- 秋~冬季:寒い日には暖房を入れて室内を暖めておきましょう
- 春~夏季:暑い日には室内を涼しくしておいた方がよいか確認しておきましょう
寝具周辺の環境について
<医療的ケア児&ご家族>
医療機器が必要な場合には、寝具の周りに置くスペースがあるか、コンセントが何口あるか確認しましょう。
また、夜間注入が必要な場合には、フックをかけられるところがあるか確認しましょう。

<宿泊事業者>
夜間にもケアが必要な場合があるため、枕元に調整できる電灯があるとよいです。
寝具の周辺に医療機器を置くスペースやコンセントを確保しましょう。
また、酸素濃縮器を使う場合は、吹き出し口の近くに火があると危険です。ただ、ご家族は扱いに慣れており気をつけて使用するので、火元が近くにない限り心配はいりません。

貸し出し品について
<医療的ケア児&ご家族>
医療機器などの利用で電源が多めに必要な場合は、電源タップや延長コードの貸し出しがあるか確認してみましょう。
また、体温調整のため保冷剤が必要な場合には、宿で貸し出しがあるか相談してみましょう。
移動中の体温調整のためなどに保冷剤を持参している場合にも、冷やすための冷凍庫を利用できるか併せて相談しておけると安心です。
<宿泊事業者>
医療機器などの利用で電源が多めに必要な場合があります。
特に、客室内のベッドの配置によってコンセントが遠い場合や、枕元のコンセントが少ない場合などは、延長コードや電源タップを事前に用意しておくとよいでしょう。
また、体温調節のために保冷剤を利用する場合があります。
宿から保冷剤の貸し出しがあるとよいでしょう。室内冷蔵庫の冷凍スペースが小さい場合は、フロントや厨房の冷凍庫などで代わりに冷やす対応ができるとなおよいです。
室温調整には湿度も重要なため、加湿器を利用する場合があります。
客室ごとではなく希望者のみの貸し出しなど台数制限がある場合には、事前に要否を確認しておくとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
一日の中で一番長い睡眠の時間。
医療的ケア児もご家族も快適に過ごせるよう、宿と相談しながらさまざまな工夫で乗り越えていけるといいですよね。
宿泊事業者の皆さまには、ぜひご家族からヒアリングをしていただきながら、ワクワクする旅の第一歩をサポートしていただけるとうれしいです。
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